1437人が本棚に入れています
本棚に追加
さかのぼること
1時間10分ほど前―――
駅前の居酒屋が立ち並ぶビルのひとつに、水嶋くんと入った。
今日の飲み会には、カレが来ないという事を水嶋くんから聞いていたし、直接、カレと同じ販売チームの後輩にも確認していた。
だから、半年振りに参加した同期との飲み会。
なのに、先に着いていた同期から予想外の知らせ………
帰る訳にも行かず、内心ドキドキしながら運ばれてきた料理やお酒に口をつけていた。
そして、1時間後にカレの登場
―――今に至る。
「新婚になって初の出張は寂しかったかー?」
私の前に座っている、顔が赤くなった亀岡くんが冗談交じりに言いながら、川西君の頬をつついた。
「バーカ。2泊3日で寂しがるわけないだろ!それに………愛は距離を越える!」
周りが笑いに包まれる。
盛り上がる、同期の面々。
私も上手に笑えてるかな。
「…ゴメン。お手洗い行ってくる。」
智香に小声で言い、盛り上がっている部屋をこっそりと出た。
最初のコメントを投稿しよう!