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トイレの案内表示板の下で、こちらに背を向けている背の高い青シャツ男を見つける。
「……もう、大丈夫だから。気にしないでね。ほんとに。」
聞き慣れた声の主が青シャツの肩越しに見える。
「そうか…?でも、みのり…ずっと飲み会に来なかったしさ…。今日も会えるなんて思ってなかったから…実はスゲー嬉しい。」
嬉しい……だと!?
この無神経ヤローめ!!
酔いと怒りが混ざり、考えるよりも体が動いていた。
「水嶋くん!?」
「水嶋!?」
二人ほぼ同時に声を上げるのが聞こえたが、お構いなしだ。
「みのり、行くぞ。」
二人の間に割って入り、高山の腕をつかむと部屋へと足早に戻……ろうとした所で、高山が立ち止まり、川西に叫んだ。
「もう大丈夫だから!私には……水嶋くんがいるから。美紀先輩とお幸せにね!」
くるっときびすを返すと、高山は俺の腕をつかんで歩き出した。
今度は俺が腕を引っ張られる番だった。
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