1437人が本棚に入れています
本棚に追加
足早にエントランスに向かうと、高山はうつむき、気だるそうに壁にもたれかかっていた。
女性社員ってのは私服になると、雰囲気が変わるな・・・・・・とつくづく思う。
肩まで伸びたダークブラウンのストレートの髪。
クリームイエローのジャケットに黒地に花柄のワンピース……の裾から、すらりと伸びた足。
どこからともなく甘い香りが漂ってきて、俺の鼻先をくすぐった。
歩みを進めている途中で、高山のお気に入りの香水だと気付く。
一瞬見とれそうになって、茶目っ気たっぷりに声をかける。
「お待たせいたしましたー。オネエサマ。」
グロスで潤った口元を緩ませながら、高山が俺の肩をはたく。
「何言ってるのよ!遅れそうなんだから、さっさと行くわよ。」
カツカツとヒールをエントランスに響かせ、歩き出した高山の後ろについて、俺も歩き出す。
ネオンの輝く駅前へと向かって。
最初のコメントを投稿しよう!