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足早にエントランスに向かうと、高山はうつむき、気だるそうに壁にもたれかかっていた。 女性社員ってのは私服になると、雰囲気が変わるな・・・・・・とつくづく思う。 肩まで伸びたダークブラウンのストレートの髪。 クリームイエローのジャケットに黒地に花柄のワンピース……の裾から、すらりと伸びた足。 どこからともなく甘い香りが漂ってきて、俺の鼻先をくすぐった。 歩みを進めている途中で、高山のお気に入りの香水だと気付く。 一瞬見とれそうになって、茶目っ気たっぷりに声をかける。 「お待たせいたしましたー。オネエサマ。」 グロスで潤った口元を緩ませながら、高山が俺の肩をはたく。 「何言ってるのよ!遅れそうなんだから、さっさと行くわよ。」 カツカツとヒールをエントランスに響かせ、歩き出した高山の後ろについて、俺も歩き出す。 ネオンの輝く駅前へと向かって。
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