プロローグ

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ターゲット発見。 小さな声で呟くと同時に彼は走りだす。 そのフォームは短距離走の選手に似ている、ただ違うのは彼はあまり前傾しない。障害物に対応するためだ。 階段にさしかかる。 1歩、2歩、右大腿筋に大量の電気信号が走る。 飛べ。 彼は大きく宙を舞う。 10段ほどある階段を一度に飛び降り、踊り場にネコのように着地する。 踊り場からまた走る。 左足、右足、飛ぶ。 滞空時間が長い。回りが止まったように見えた。 目の前に壁が迫る、止まった時が動きだす。 左足に血が集まる。 左足で思いきり壁を蹴り、右に方向転換する。 走る。走る。走る。飛ぶ。 一階に着くと同時に息を整えなければならない。三度、時間をかけて無理矢理深呼吸する。すると不思議と呼吸が落ちつく。 彼は武道の技である息吹を無意識的に修得していた。 今まで買い物でもしてたような顔で広場を歩く。 何食わぬ顔で、階段に座り談笑する女子高生をチラッと 見る。 1点。白。 彼は呟いた。 彼の名前は石動良。 彼は超人でもなんでもない。 そこらにいる普通の中学二年生だ。体育の成績も良いときで3。正直、運動は得意ではない。 彼が人と違う所、それは、 パンチラにかける情熱 それだけだ。
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