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きっかけは、些細なことだった。
俺が、忙しくて何日も連絡を途切れさせたのが原因だった。
優芽【ゆめ】は、心配になるから、たまにでもいいから、連絡してほしい。そう言っただけだった。
なのに、なんだか俺は納得ができなくてイライラした。
そのうち、話が大きくなって……。
「そんなに俺の性格が気に入らないなら、そばにいなければいい」
俺のキツい言い方に、優芽は顔をくしゃくしゃにして、泣きそうなのを堪えながら俺の顔を睨みつけていた。
「付き合ってるだけなんだから、我慢してまでそばにいる必要なんてないんだし、別れたいならさっさと言えよ」
ここまで強く言うつもりはなかった。
けど……止まらなかった。
「いらないの?」
優芽は、小さく震える唇を手で隠しながら、消え入りそうな声で俺に言った。
「祥【さち】は私なんていらないの?」
そのときの俺は、深く考えていなかった。
この問いの答えが、どれだけ大事なのか。
だから簡単に言えたんだ。
「そんなに深く考えられても重いだけだし。疲れるだけだから、別れようか」
こうして俺は、自分勝手な理由で一方的に彼女に別れを告げた。
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