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羽を返せば、君は直ぐにでも飛び立ってしまうのだろうか。
もしも、まさか、なんて意味の無い仮定ばかりが脳裏を過ぎる。
「せ、先生…?」
「お前ね…こう言う時位色っぽく名前呼んでみろ」
「なっ、は、恥ずかしいじゃない…」
「今更だ。もっと恥ずかしい事してるだろ…?」
「…っ、…ばか…!」
先の事など解る筈が無い。
予知能力なんざ糞くらえだ。
けれど、汚い大人は汚い大人らしく毎日君に君専用の毒を盛るとしようか。
震える唇に、そっと口付けを落として。
甘く、甘く噛み付いて。
唾液で濡れた柔らかなラインを舌先で舐めて、なぞる。
いつか。
いつかこの甘い毒が、君の躯中全てを侵食すれば良い。
二度とは、羽ばたけぬ様に。
<完>
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