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あの頃聞いた台詞は、きっと無敵の呪文だった。
そんな風に聞きたくなかった。
やらなくてはいけない事に囲まれて、身動きすら取れなくなってしまって、周りが笑いながら蹴り倒すハードルを私はまだ越えられずに居る。
せめてと繋ぎ止める様は、只愚か。
義務と期待と希望の間で、やりたい事が分からなくて、やらなくては駄目な事が分からなくて、やってはいけない事が分からなくて、皆が当たり前と進む方向に少しの溝を見付けて立ち止まる。
希望を見るには、それは只遠過ぎる。
あの頃聞いたあの台詞は、きっと無敵の呪文だった。
認めたくないのは、あの声。
(お前が好きだと言う甘い言葉)
<完>
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