彼女が俺を残して卒業する日

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(本当は、気付いてたんだ自分の弱さに。あの人とは違う、自分には何も無い事に、さえ) 掌にある白のスカーフが、夕日の光を浴びて僅かに暁を帯びていた。 それを綺麗だと思った。 オレンジが、とても映えて。 無数の傷が付いて、ほつれている。 生々しい、傷だ。 (ああ、きっと、一生懸命だったんだろうなぁ) きっと、あの頃自分の事なんて頭に無くて、只必死だったのだろう。 大好きな事だって、他の事も全部抑制して只前だけを見て懸命に。 (多分、今だって) もっと他の誰かを、心の奥底で想っているのかも知れない。 あの頃と同じように只々一生懸命に、必死で、懸命に。 (スカーフは、ここにある、のに) いつか、貴女を好きで居る事を諦めてしまうかも知れない自分が、とても恐ろしい。 <完>
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