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和の恐怖から逃げる事に成功した俺達は商店街を歩いていた。
「えへへ~」
不意に愛穂が満面の笑みを見せる。
「どうした。リ○ちゃん人形でも見つけたか?」
「違うよ!ボク、どんだけ子供扱いなの!?」
「違うのか……?」
「何でそんな深刻な問題を抱えた人みたいな表情なの!?」
「ジョーキングフェスティバル。で、なんだ?」
俺が尋ねると、愛穂は柔らかそうな頬を緩ませて
「手、繋ぎっ放しだなぁって」
「あ……」
ふと手を見て気付く。そういえば教室から逃げ出してから意識してなかったけど……
意識するとなんか恥ずかしい。顔が紅潮するのがわかる。
「わっ、悪ぃ……つい勢いで……」
「勢い……か。じゃあ」
俺の手から柔らかく小さな手が離れていく。
そして、再び手を差し出すと
「手、繋ごうよっ!」
――天使の笑顔。それが一番相応しい言葉。
とにかく可愛らしくて輝いて見えるその笑顔はずっと見てたくなる感じがした。
「……ったく。今日だけだぞ?」
「え~!毎日しようよぉ!」
「俺が恥ずか死ぬだろうが」
「あれあれ~?悠くんって意外とシャイ?可愛いかもっ!」
「公衆の面前で抱き付くんじゃねぇ!」
「結婚式、する?」
「しねぇよ!てか出来ねぇっての!」
ま、今日くらいはいいよな。こんなのも。
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