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マスクで こもった声でキミは
僕の最後の“約束”を欲しいと言った
僕がいいよと言うと
キミは嬉しそうに
痩せて細くなった小指を付きだし
“笑って”
と呟いた
僕が笑っていてもキミが居ないと意味がない
キミを思い出せない日が来るのが怖い
僕が言うと
首を横に振り
無理して憶えとかなくていい
たまに思い出して
懐かしく笑ってくれればいい
悲しい顔されるより
笑顔でいてくれた方が
嬉しいから
キミはまたそう呟いて
一定の機械音を合図に
キミの目が開くことが無かった
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