いつもの風景

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「センパイ、センパイ」 はづきに言われて我に返った。 「えっ、なに?」 「何じゃないですよー。今一人で過去の恋愛振り返ってました?」 「いや、そんなんじゃないよー」 はづきにズバリ言い当てられ照れを隠すようにレモンティーを飲んだ。 「で、センパイのタイプはどんな人なんですか?」 「そうだな、しっかりした人かな。頼りがいのある…」 今まで好きになった人はみんなそうだった。 自分では気づかなかったけど多分そうだ。 頼れる人が好き。 「そうですか。でもそれっぽいかも。センパイは年上と似合いそうですね」 「でも、出会いがないからねー」 氷をストローでかき混ぜながらいった。 「一応うちの部署の人たち年上ですけどどうですか?」 「やめてよ、冗談キツい」 「ごめんなさい。でもすぐに思い出せる人って会社の人だけですよ」 そういいながら最後の一口を口に運んだ。
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