~第三章~

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俺は必死に逃げる… 虚羅は必死に追いかける… 木の根に足を引っ掛け転びそうになるが、踏ん張って堪える。 こんな事を続けていると……!!!? 荒野に出てきた。 見覚えのある真新しい足跡と前からあったいろんな跡がある。 そしてその跡の先にはイライザの街の城壁が見える。 優『あと少し!!!……ちょっと待て!!?このまま行けば虚羅が街に入って………!? それだけは駄目だ。食い止めないと!!』 俺は剣を抜き、虚羅の群れの方へ向きを変えた。 優『かかって来いよ。練習の成果お前達で試してやる!!』 俺は自分を奮い立たせ、虚羅に立ち向かう。 恐怖?少しはある…けど、今は戦いたい気持ちと、自分の力が今どのくらいなのか知りたい心が支配している。 敵は獣型の虚羅だけ…よし!!行くぞ。 三匹きた。真ん中の虚羅を突きで仕留める。黒い血が吹き出し顔にかかる… ザシュッ!!! 優『くっ!!?』 左肩を引っ掻かれた。 肩から血が滲んでくる 一瞬怯んだが、すかさず反撃にでる。二匹とも倒した… 練習とは違って、コイツラは生きていて動く… 極度の緊張と肩の痛さ、さっきまで走っていた為の疲労感が重なり酷く足が重い…。 まだ虚羅はたくさんいる。 ジリジリと近づいてくる。 体が重い…目がくらむ。 だけど…こんなところで倒れてはいられない。 優『くっ!!』 倒れそうな体を起こし、ガクガクする足を踏ん張り…俺は力の限り虚羅に切りかかる。 一匹…二匹、三匹… ちょっとずつ虚羅を薙払う。その度に黒い血が吹き出し血がかかる…、俺の顔と体は黒く染まっていく… 頭がクラクラする…足がいうことを聞かない。 優『ぐっ!!!』 今度は背中を引っ掻かれた。 俺はそのまま、うつ伏せに倒れる。体が…動かない。力が出せない… もう…無理だ。目が霞む…意識が遠のく… 動かない俺を虚羅が一斉に飛びかかる。 ごめん…父さん、母さん。 俺は諦めて目をつむった。
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