~第十九章~

57/57
2020人が本棚に入れています
本棚に追加
/637ページ
サブワンの見えない答えに少しだけ背中に冷たいモノが走った。 人は通常、上位属性はどちらか1つだけ操ることが出来る。 光を使える者は闇を使えず、闇を使える者は光を使えず……。 それが常識と言うか、世の中の理(コトワリ)だと言われ続け、聞かされ続けていた。 なのに……私の腕の中にいる優と、目の前にいるサブワンやルナは両方使えている。 しかも、話を噛み砕けばサブワンの弟もまた両方使える……。 …………どういうこと? 私『貴方は……ヒト、なの?』 サブワン『いいや違う』 私『ヒト成らざるモノ……。貴方と……優は、同じ……なの?』 サブワン『その通りだ』 華月『おいおい。喋りすぎじゃないか?』 白鳥華月が困った顔をして制止するけど……はっきり言って邪魔。 私『白鳥華月……邪魔……するな』 華月『いいや、邪魔するさ。お前は優の口から聞かされた方がいい。絶対にな……』 私『なにそれ……』 ルナ『ちなみに私もユウチャンと同じなんだよっ』 私『わかってる。さっき……混合術、使ってた……』 ルナ『あ……確かに。テヘへ』 無邪気な笑顔。 優が好きそうな表情ね。 サブワン『そろそろ着くぞ』 私『……場所は?』 サブワン『孤島だな。名前や位置などは把握しておらぬ』 華月『なんだ……それでは転空が使えないじゃないか』 サブワン『優が目覚めるまでは必要なかろう。不要なモノは全て排除してある。水も食料もある。そこで覚醒を待とうではないか。さぁ、開くぞ』 行く時とは逆に、黒いモノが上から浄化されていくみたいに透明な膜が現れて、その後を追いかけて透明な膜も上から消えていく。 ずっと暗闇の中にいたから急に入ってきた光がとても眩しい。 でも、すぐに目が光に慣れて……きて―― 私『これは……夢?』 華月『ほほぅ。熱烈な出迎えだな』 ルナ『すごいすごぉーい!! お山が2つだよ。黒いお山が2つ』 サブワン『ふふふ。ようこそ我が住み処へ。歓迎するぞ諸君』 衝撃的な光景を目の当たりにした私は思った……。 もう普通の日常には戻れないな……ってね。 でも、優がいれば私は―――。   ~第十九章~ 終わり
/637ページ

最初のコメントを投稿しよう!