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サブワンの見えない答えに少しだけ背中に冷たいモノが走った。
人は通常、上位属性はどちらか1つだけ操ることが出来る。
光を使える者は闇を使えず、闇を使える者は光を使えず……。
それが常識と言うか、世の中の理(コトワリ)だと言われ続け、聞かされ続けていた。
なのに……私の腕の中にいる優と、目の前にいるサブワンやルナは両方使えている。
しかも、話を噛み砕けばサブワンの弟もまた両方使える……。
…………どういうこと?
私『貴方は……ヒト、なの?』
サブワン『いいや違う』
私『ヒト成らざるモノ……。貴方と……優は、同じ……なの?』
サブワン『その通りだ』
華月『おいおい。喋りすぎじゃないか?』
白鳥華月が困った顔をして制止するけど……はっきり言って邪魔。
私『白鳥華月……邪魔……するな』
華月『いいや、邪魔するさ。お前は優の口から聞かされた方がいい。絶対にな……』
私『なにそれ……』
ルナ『ちなみに私もユウチャンと同じなんだよっ』
私『わかってる。さっき……混合術、使ってた……』
ルナ『あ……確かに。テヘへ』
無邪気な笑顔。
優が好きそうな表情ね。
サブワン『そろそろ着くぞ』
私『……場所は?』
サブワン『孤島だな。名前や位置などは把握しておらぬ』
華月『なんだ……それでは転空が使えないじゃないか』
サブワン『優が目覚めるまでは必要なかろう。不要なモノは全て排除してある。水も食料もある。そこで覚醒を待とうではないか。さぁ、開くぞ』
行く時とは逆に、黒いモノが上から浄化されていくみたいに透明な膜が現れて、その後を追いかけて透明な膜も上から消えていく。
ずっと暗闇の中にいたから急に入ってきた光がとても眩しい。
でも、すぐに目が光に慣れて……きて――
私『これは……夢?』
華月『ほほぅ。熱烈な出迎えだな』
ルナ『すごいすごぉーい!! お山が2つだよ。黒いお山が2つ』
サブワン『ふふふ。ようこそ我が住み処へ。歓迎するぞ諸君』
衝撃的な光景を目の当たりにした私は思った……。
もう普通の日常には戻れないな……ってね。
でも、優がいれば私は―――。
~第十九章~ 終わり
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