~第二十章~

6/30
2020人が本棚に入れています
本棚に追加
/637ページ
優『うわぁぁぁぁあっ!!!!!――はぁ、はぁはぁ、はぁ……はぁッ……ゆ、夢か……』 今度こそ俺は、正真正銘に起きたみたいだ……。 目も開けられる。声が出せる。体も動く。 ちょっとクラクラして物憂い感じだけど……正常だ。 優『はぁ……はぁ、なんて夢を見やがるんだ俺はッ!? 普通に考えて姉ちゃんが……なるハズがないだろ』 最悪な目覚めだ。 もしかすると俺は姉ちゃんにも堕天使になってほしいのか? そんなバカな……姉ちゃんには普通の人間として生きてほしいって、化物になるのは俺だけで十分だって……そう願ってたじゃないか。 マジで俺は最悪だ。 優『……って、自己嫌悪している場合でもないか。まずは状況を把握しないと……』 とりあえず、俺は生きてる。 リベレイトに刺された胸は……傷跡が残っているけど、ちゃんと塞がってる。 ……て、ことは、刺されて気を失っている間にアイツが助けてくれた……ってのが、1番確率的に高いな。 場所の風景も変わっているからカミヌイから脱け出せたみたいだし……、ここが何処なのかは分からないけどさ。 ベッドとか生活に必要最低限な物は揃ってはいるけど、ここって……洞窟だよな。 岩がゴツゴツと突き出しているし、少しひんやり湿っぽいし……洞窟なのは間違いない。 優『洞窟の中に家具……なかなかシュールだな……ん? 何かお腹辺りが生暖かいと言うか重い気が……まさか?――』 これ以上は言うまい。 いや、言う必要がないな。 こんなの2年ぐらい前まで日課だったから……間違えるわけがないと断言出来る。 優『………よし』 少し深呼吸して身心を落ち着かせて……布団を掴み、中を覗けるくらいまで持ち上げる。 そして、そこに居たのは……
/637ページ

最初のコメントを投稿しよう!