~第二十章~

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前にも言ってたように俺や姉ちゃんみたいな髪色や目色をした人間はかなり少ないって……稀少種なんて囃(ハヤ)された時期もあった。 だけど、それはある意味……的を射ていると思う。 いや……神城家が“稀少種”なのだ。 “アレ”を使える事態でもう人外の域を越えてると俺は思うから……俺を含めた神城家は稀少種。 “アレ”は……“人間”を“ただの殺人人形”に変えてしまう代物。 それだけに“ただの殺人人形”から“人間”に戻る時の反動、もとい、副作用はシャレにならない。 優『なぁ……』 ???『どうした?』 優『まさかとは思うけど……姉ちゃんは俺の傍を離れなかったんじゃないか?』 ???『良く分かったな。これも愛の力と言うものなのか?』 優『茶化すな。こっちは真剣なんだ。……姉ちゃんは片時も離れず、俺の傍に居たんだな?』 ???『我もずっと見ていた訳では無いが、白鳥華月やあのルナと言う少女の話を聞けば……そういう事になる』 優『何だよ……ばっちりキテるんじゃないかよ。副作用……』 ……って、そうか。コイツ等は“アレ”を知らないからピンと来るはずがないんだな。 優『そうか……ちなみにだけど、ここは何処だ?』 ???『孤島だな』 優『もうちょい詳しく』 ???『うむぅ。それならば……山の下から我等の同族の、しかも複数の気を感じたな』 優『同族で……複数の? それってまさか!?』 ……璽譜石。 出来損ないの堕天使の血から産まれた……異能を秘めた神秘の石。 それが複数ってことは……たくさん。 璽譜石がたくさん地中に埋まっている山……。 それは、神が与えし物という意味を冠した「ゴルトール」から来た山……“ゴルトーラ山”。 それは璽譜石が唯一取れる山で、アーリア国と敵対するグレムナル皇国が所持する山。 それが近くにある孤島……。 それを俺は知ってる。 何で知っているのかは忘れたけど、この孤島の名前を俺は知っている。 この島の名前は…… 優『ティスニア島……』
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