~第二十章~

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優『よりにもよってティスニア島かよ……』 ???『ほぅ……この島の名はティスニア、と言うのか……』 優『年中、濃い霧が島の周りを数キロ覆っているうえに、4つの海流が複雑にぶつかりあって出来る無数の渦潮で船での上陸は不可能だと言われる島……って、父さんから聞いたことがある』 イレイズになるなら国の名前とか土地の名前を憶えていて損は無いぞ、って言われてアーリアからグレムナル、中立のフノンズの都市の名前は全て憶えさせられたんだよな。 本当、こんな時に役にたつなんて……ある意味損は無かったな。 優『お前……とんでもないところに連れて来たな』 ???『この地に満ちる気が我の体に馴染むのだ。おかげで新しい体との繋がりの調整も早く終われた』 優『新しい体? どういう意味だよ……それ。叉幸はどうなったんだよ』 ???『完全なる我にあの者の体では不釣り合い。あの者の体が壊れてしまう前に別の体へと移っただけ……心配ない。あの者はちゃんと生きておる。今ごろは阿壬城螺鬼琉や骸柚覬白に手厚い看護を受けておるだろう』 叉幸は無事……か。 良かった……本当に良かった。 ???『自らを贄(ニエ)にしてまで我の復活を望む者を滅ぼすほど我は鬼ではないつもりだ。代わりに完全なる者の体を借りたがな……』 それが、どういう意味を指しているのか俺にも簡単に想像出来る。 ルナ同様のやり方で生まれた造られた堕天使―― 優『星の力が回復したのを見計らって……実行したのか。また、実験を……クソッ!!』
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