~第二十章~

12/30
前へ
/637ページ
次へ
???『そう昂るな。おかげで我は存在し、お前と逢え、お前を助けられたのだからな。むしろ感謝するべきだ……』 優『ふざけろ。人を改造して……化物に変えて、何が感謝だ――』 ズキッ! 優『うぐゥッ!? 傷が……クッ…』 ???『はぁ。だから言っただろうに……』 優『うる……さい。俺は……人を……諦めてないッ』 堕天使になっても、俺は……人であり続ける。 姉ちゃんがリベレイトに刺されそうになって、庇ったあの時……気付いたんだ。 いや、分かっていたけど、自信が無かったのかも……。 守るのに堕天使になろうが、人のままであろうが……何も変わりはないんだと――。 優『助けてくれたことには……感謝したい。けど、それまでの過程が気にくわないんだ』 ???『誰も主の気持ちなど気にかけると思うか?』 優『…………』 ???『理想、幻想、夢を見る語るのはおおいに結構。だがな、現実を見ろ』 あまりにも正し過ぎた正論に怒りが沸々とわき上がってくるのが分かる。 そんなことは分かっている。 だけど、そういう事では無くて、何故……何故、―― 人であることを辞めるのか ――。 優『クソが……。人を辞めて何があると言うんだ!?』 ???『では聞くが……何故、そこまで人であることを執拗に拘(コダワ)る? この星に生きている者同士ではないか』 優『じゃあ聞く。天使と悪魔は存在し得たのに、何故、堕天使は普通では生きることすら出来ない? 普通ではないやり方でしか生き永らえられない、存在出来ないって……そういう意味なんじゃ無いのかよ?』 現に俺たちだって特殊な条件下で存在している。 だからこそ……人で在るべきなんだ。
/637ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2020人が本棚に入れています
本棚に追加