風が、ない。

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ひとまず連絡先を交換して寮に帰った。 帰ってしまってから、その日自動車学校をさぼってしまった事に気付いた。 罪悪感はまったくなかった。 ヒロムは自動車学校が嫌いだ。 むしろ憎んでいるといってもよい。あそこにいくと、自分が情けなくて涙がこぼれそうになる。 担当の教官はそれをいちいち見付けては溜め息をつくのだ。 教習所内では出来ることなのに、公道に出ると緊張して出来ない。 同時期に入学した男友達達はとっくに免許をとった。
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