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♥恋する姫VSベテランS執事♥
午後4時
お嬢様をお迎えにあがる時間ー
名門高校に通う未来あるお嬢様に悪い虫を近づけるわけにはいかない-
旦那様より監視を命じられている以上…例え通学路といえ油断は禁物
いつものように正門に車をつけお嬢様が出てくるのを待つ―。
「… おかしいな…」
お嬢様の姿が見えない
シルフお嬢様は真面目な方だ
連絡もせずに遅れてこられたことなど一度もない…
カイの胸にふと不安がよぎる―
探しに行こうとも
学園内は関係者以外立ち入り禁止…
ふぅ…どうしたものやら…溜め息混じりに空を仰いだ先に
「…お嬢様⁉」
シルフがいたー
正確には
屋上に佇んでいるシルフを見つけたー
「…生徒といえば…生徒に見えなくもない…か」ボソリ…と呟くと
カイは屋上へと走った…
……………………
「あ…カイ…?」
屋上を吹き抜けていく風に
フワリ…フワリ…シルフの柔らかな髪がたなびいている
「…お嬢様…いったい…こんな所で何…を…」
はぁはぁ…と肩で息をするカイを見て
クスリ…とシルフが笑う
「…やだ…もしかして8階まで走ってきたの?」
「…」
「…ふふ…そんなに心配しなくても飛び降りたりなんてしないのに…」
微笑むシルフの瞳が
なんだか寂しげに揺れる
「…シルフ様…」
「………帰りたくないの」
夕日が瞳に映って真っ赤に見える…
小刻みに肩が震える…
「…もう…お父様に生活をしばられるのは嫌…!…好きな人すら作れない…!…私…まだ一度も恋も知らな…」
最後の言葉は
カイの包容によって
さえぎられたー
「…カイ…?」
「…私が…お教えしましょう」
「…え…」
突然のカイの言葉と抱き寄せられた腕の力に戸惑う
「…シルフお嬢様が…いつか本当の恋を知り…花開かせるまで…私がシルフ様の蕾を愛しみお育てしましょう…」
「…そんな…💦だって…でも…カイは執事だし……本当の恋を知るなんてそんな…」
ー初めて見るカイの男としての顔ー
胸がドキドキするー
「……もちろん。
シルフ様さえよろしければ…私がシルフ様の花を開かせていただいても…かまわないんですよ…?」
ニヤリ…
妖しく微笑む
「………ツ! (照)」
真っ赤な夕日と
真っ赤な頬のシルフ
2つの赤が辺り一面を
染めていたー
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specialthanks
シルフ様
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