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ちくしょー。アクセルの奴、何も追い出す事はないだろう! 俺だってここの生徒なんだぜ!? 教師が、しかも校長が生徒をつまみ出すなんて……! 信じられない! ママが聞いたらなんて言うか……。
俺は教室までの道を適当に歩く。脳内では、なんとも奇怪な寸劇が繰り広げられていた。
正直、教室までの道も曖昧だったが、そこは天才俺! これから通う事になった二組に辿り着いた。
はっ! 脳のクオリティ違いを見せつける結果となったな。
人間、第一印象が大事! 俺は準備体操を怠らない。
ちなみに、ここでの準備体操とは笑顔、及び発声練習である。
準備は整った。俺は校長室の時と同じように、勇んで扉を開けた。
◆
扉が開くと同時に、澄んだ綺麗な声が教室に響き渡った。
「ごめんください」
居眠りしていた生徒は、反射的に顔を上げる。授業を聞いていた者は、黒板から目線をずらす。
クラス全員の視線が、扉を開けた本人であるガイアに集中する。各人、思う事があるだろうが、この時ばかりは皆の気持ちは一つだった。
“誰だこいつは?”
一方ガイアは集まる視線など、どこ吹く風。気にした様子もなく、教師すら無視をして教卓にと歩を進める。
なんとも傍若無人な態度に、誰一人声も出ない。
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