一章 邂逅

11/11
前へ
/92ページ
次へ
「十人十色、この言葉を理解すれば世の中から差別が消えるはずです! それでも差別は消えていない。それは貴方のような人がいるからです! さぁ級友よ、声高らかに宣言しよう。みんな違って、みんないい!!」  ガイアの言葉、もとい演説に教室が湧いた。スタンディングオベーション。誰もが立ち上がり、万雷の如き拍手を打ち鳴らしていた。 「皆さん、ご静聴ありがとうございました」  そして恭しく一礼。教室は今年最高潮の盛り上がりを、ジークとエルディは嘆息をしたのであった。  転校生、ガイア=ディースカウ。彼はたった一日で二組のカリスマ的存在となっていた。  自己紹介から笑いを狙う豪胆。そして尽きる事のない屁理屈。  生徒からしたら頼もしい。しかし、教師からしたら扱いが難しい。  良く言えばムードメーカー。悪く言えば超問題児。  ちなみに、「俺、天才だから」というのは、何故授業が分かるのか説明した時のガイアの言。  天才と馬鹿はなんとやら。正に、そんな格言を体現する人間。  そしてエルディを含め、クラスの生徒全員は驚愕する事になる。想定外の実力、そして規格外の器。  彼のユーモラスな性格。それはガイア=ディースカウという巨大な器の一部分に過ぎない。彼の本質。  その全てを知るのはもう少し先の事。  ガイアとエルディ、二人の出会い。役者は揃いつつある……。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

468人が本棚に入れています
本棚に追加