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とある部屋。家具もインテリアも無く、偉く殺風景な光景が広がっている。そもそも生活の臭いすらしない。
それもその筈。部屋の住人が入居したのは昨日なのだ。そして、この部屋は寮の一室。グレイ学園附属の寮だ。
因みに、新たな入居者。それは転校生ガイア=ディースカウ。
彼は学園での勤めを終えると、直ぐに入寮の手続きを済ませていた。
「なんでも早い方が良い。あれだ、あれ。『兵は神速を尊ぶ』ってやつだよ」これは彼の言。
いつから兵士になったのか。とか、それは戦争に於いてだけではないのか。とか、些か疑問は残るが、グレイ学園の朝は早い。
既に生徒の大半は起床し、支度に追われている頃だろう。そして彼の朝もまた―――
◆
朝だ。今日もまた朝が来た。俺が最も苦手とし、且つ忌み嫌う時間。
俺は寝ぼけた頭で時間を確認する。時刻は七時ジャスト。刹那、昨日のアクセルの話が頭を過ぎる。
『登校は七時三十分です。朝早いですよ?』
この時、俺は初めて頭から血がひく音を聴いた気がした。
「なああああぁぁぁぁ!!」
考えている暇などない。俺は光の速さで着替え、洗顔を済ませると、校舎に向かって走り出した。
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