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晴耕雨読、という言葉を知っているだろうか? 意味は字の通りで、晴れの日は田を耕し、雨の日は読書をする。転じて気ままな生活。
正に俺の日常を体現するかのような言葉だ。そう、つまり気ままな時間に起きた俺は悪くない訳で、非は学園にあるのではないか?
何故、朝が苦手な人を迫害するような事をしたのだろうか? 教育現場が腐敗しているようでは、ゆくゆくは国の政(まつりごと)を担うであろう俺達が犯されてしまう。
いかん、このままではこの国自体が腐ってしまう。ええい! 今からアクセルに直談判だっ!!
俺は、教室への道を全力で走りながらエゴティズム全開な妄想をしていた。
あ~、これは間に合わねぇや。
半ば走るのを諦め、今日は愚かなる級友共にどんな話題を提供しようか、と思案に沈んだ所で、始業を告げる鐘が無情にも響き渡った。
これで我が担任、ジークによる説教と、エルディを含めた級友達からの嘲笑が確約された。その事実が、また一層と俺の足を重くせた。
それでも遅れ過ぎるのはよくないだろう。一応、転校生という立場だしな。それに教室も、もう近い。
いや、訂正しよう。もう見えている。そして扉に手を掛けている。
後は扉を開けるのみ。ジーク―――いや、ジー君でいいか。ジー君がいない事を祈りながら、俺は扉を開けた。
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