負けず嫌い

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「セーフっ!」 「アウトだ、馬鹿」  俺がそう叫ぶと、ジー君に頭をすっ叩かれた。教室からは笑いが溢れ出す。  これって暴力じゃね? 「おいガイアぁ。二日目からいきなり遅刻とは、なかなか度胸があるじゃねぇか?」 「いやいやいや、それ程でも」 「誰も誉めてなんかいないっ!!」  うん、分かってる。てか、一分も遅刻してないみたいだな。あの時間に起きて、この時間に着いたのか……。  よし、決まりだ。今日の話題は『韋駄天ガイア伝説~音速の壁を越えし者~』にしよう。十四歳とかが考えそうでいいだろ? 「まぁいい。さっさと席につけ。尤も、すぐに移動だがな」  ん、移動? なんかあんのか? 俺の歓迎会とかなら嬉しいが……。  疑問に思ったが、とりあえず席に―――エルディの隣に座る。エルディ、こいつは昨日の『俺、天才だから』発言から、仲良くなった。  なんていうか……こいつも暇してたんだな。目に覇気が無いっていうか、輝きが無いっていうか……。多分だけど、俺みたいな馬鹿が来て嬉しかったんじゃないか?  なんて思ったりするが、そんな事を言える筈も無く、おはようさん、と、にこやかに朝の挨拶をするのだった。
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