前章 起源

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「俺が父さんを……」 「あぁ、そうだ。てめえみたいなガキを庇ったから、こいつは死んだ。違うか?」  神経衰弱状態の少年に更なる追い討ちをかける。ジワジワと、ジワジワと、確実に少年の心を蝕んでいく。  時として、言葉も強力な刃となり得るのだ。 「俺が、俺が、俺がっ!」 「そうだ。ついでにママも殺ってみるか?」  男が刀を振り上げる。  ――その瞬間。 「がああああアアアアァァァァ!!」  これが、全ての起源――始まりだった。  それは哀しみの始まりでもあり、憎しみの始まりでもある。  幾重にも、幾重にも重なる負の連鎖。その連鎖は渦を巻き、決して途切れる事なく一人の少年を呑み込んだ。  この後、世界は彼を中心に動き出す。  哀しき戦い。その火蓋は、早すぎる別れと共に切られたのだった。
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