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小鳥の囀りが聴こえる。体を撫でる風が気持ちいい。一般的で言う所の『爽やかな朝』だ。
そんな中、眼前に佇む巨大な建築物。その建築物は、訪問者を弾き返す程の凄みを孕んでいる。
その建物の大きさ、そして壮大さに驚いている少年が一人居た。
「ほー、これはまた大層な物造ったな。一体どれだけ時間かけたんだ……?」
少年の名はガイア。若さに溢れる十六歳だ。
彼は今日、巨大な建築物改め、グレイ学園に入学するためにやって来た。
尤も、季節は既に夏の終わり。忌々しい暑さは終わりを告げ、風も大分冷たくなって来た。最近では過ごしやすい時期になっていた。
つまり、入学よりも編入という方が適切になるだろう。彼は今日、このグレイ学園に編入する為にやって来たのだ。
「今日から俺も学生か……。なんだかなー」
ガイアは呟きながら、学園のソレとは思えない程大きな門を潜る。晴れて学園の土を踏みしめたガイアは、どこか気怠そうに歩を進めた。
どちらかというと朝は得意ではない彼にとって、これは厳しいようだ。
寝坊の反動と言うべきの寝癖。それが彼の美しい銀髪を邪魔している。
「さっさと終わればいいな……」
切に願う彼の言は、初秋の爽やかな空気に消えていった。
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