一章 邂逅

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 学園が大きいという事は、当たり前だが敷地も自然と広くなる。  朝から呑気に歩いていたガイアが、集合場所となっていた校長室に辿り着くのに、三十分もの時間を必要としたのは些細な事。 ◆  っくそ! ありえねえだろ、この学園。どんだけ広いっつう話だ。お陰で、俺の貴重な時間を無駄に浪費してしまった。  然るべき罪には、然るべき罰を……。俺は校長への復讐を誓った。 「失礼」  勇んで校長室の扉を開ける。本来なら無礼にあたるだろうが、ここの校長なら話は別だ。  なんたって――― 「待っていましたよ、ガイア君。遅かったで……す……ね? えっと、どうしました?」 「どうしましたも糞もねえ! おい!アクセル。なんだこの初心者に優しくない造りの学園は! こういう所から差別が広がっていくんだ! 嗚呼、現代の教育現場はここまで腐敗しているのか……」  わなわなと震えながら膝を付き、頭を垂れるのを忘れない俺は流石の一言に尽きるだろう。  突然の対応に慌てる校長。もとい、アクセル。アクセルとはちょっとした知り合いだったりする。  親しき仲にも礼儀あり。なんて格言があるけども、そんなもの俺の前では意味を成さないのである。
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