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向川勢、安藤勢両軍が顔合わせした。
両軍向かい合ったまま動かない。
その時、向川出羽守が先陣に踊り出た。
「やぁやぁ我が名は、向川出羽守堅登なり、敵将安藤越前守健太殿よ、ここは多くの血を流すよりは一騎打ちをして早々に決着をつけようぞ!」
一人の男が敵陣から出てきた。
「承知致した。向川出羽守殿、一騎打ちうけてたちましょう!いざ、勝負!」
両名が槍を合わせる。
馬がすれ違う時には、両名とも六発ずつ撃ち込んでいた。
向川が槍を突き出せば、安藤がその槍を交わして反撃。
まさに一進一退の攻防。
両名は百回撃ち合って勝負がつかない。
しかし、遂に勝負が動いた。
向川の槍が安藤の馬の頭に切り込んだ。
馬が転倒し、勝負がついた。
「向川出羽守殿、私の負けです・・どうぞ首をとって下さい。」
「安藤殿、我が軍に来てはくれませんか。貴方の武はここで死んではなりません。どうかお願いします。」
「しかし、幽斎殿が許されまするかな?滝阿波守を討ち取った私が・・」
「幽斎様では無く、我が向川に仕えてくれませんか?」
「わかりました。そこまで言うなら・・仕えさせていただきまする」
〈ドドーン〉
〈ドドーン〉
その時、狼煙が上がった。
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