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ー山県昌景の陣ー
「家康殿が降伏するのか!」
「は!我が主、家康の名に誓って申し上げまする」
「ふむ・・それでは忠勝殿を家康殿の元へかえさなければな。」
昌景は少し残念ではあった。
天下に名高い忠勝と酒を酌み交わして語り会いたかった。
と昌景が思いに耽っていると、
「昌景殿!家康殿はなんと?」
騒ぎを聞き付けてきたのであろう。忠勝が事の行方を聞きに来たのである。
「忠勝殿か。家康殿は武田に降伏いたすそうだ。」
「昌景殿!それは誠か?」
「誠だ。忠勝殿は盟約通り家康殿の元へ。」
「昌景殿・・少し勘違いをなされているようですな。まだ松平家は再興しておらん。まだわしが出した条件には入っておらん。帰りたくても、帰れんわい!」
「忠勝殿・・しかしそれでよいのか?」
「ああ!主を助けて貰って恩を返さず帰るのは三河武士の恥だ!」
「ならば、御館様の上洛を手伝って貰うぞ!」
忠勝と昌景は手を取り合って固く握手をしたのだった。
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