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「平和だなぁ……」
うららかな春の陽に照らされた窓際で、一人の少年が紅茶を啜っていた。
無造作と言えば聞こえが良いボサボサの黒髪に澄んだ黒い瞳が特徴的だ。
「………おい」
陽光の影から少女が現れた。
年の頃は少年と同じくらい。
鼻筋が通った凛々しい顔つきをしている。
絹糸のように艶やかな金髪をポニーテールに纏めている。
「ん?
どうした?」
ティーカップ片手に少年が尋ねる。
「どうして私がこんな格好をしなければならないのだ?」
少女が纏っているのは黒を基調としたエプロンドレス。
頭上を飾るのはレースをあしらったカチューシャ。
そう、いわゆるメイド服である。
「罰ゲームだからだろ?」
―――時は数時間前に遡る――
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