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「双真、クローゼットの裏からこんなモノが出てきた」
そう言ってシェニスがテーブルに置いたのは折りたたみ式のチェス盤。
「おー、ずいぶん懐かしいモン見つけたな」
双真は読んでいた本を閉じ、チェス盤を手に取る。
所々色褪せた盤が年季を感じさせる。
「かなり使い込んであるな……」
シェニスが背後から手元を覗き込む。
「ガキの頃からやってたからなー…」
そう言って感慨深げにチェス盤を見つめる。
「ほう、では双真はそれなりに強いのか?」
双真から離れ、向かいのイスに座る。
「それなりにな。
なんなら一勝負してみるか?」
自信あり気に双真はチェス盤を広げる。
「面白い、受けて立とう」
意気揚々と言い放つシェニス。
――数分後……
「ほい、チェックメイト」
双真が操る黒のナイトが白のキングを追い詰めた。
「ぐっ……もう一度だ!」
――さらに数分後……
「チェックメイト」
数分前と同じく、白のキングが追いつめられていた。
「……もう一度!」
悔しさから引けないシェニスが食い下がる。
「じゃあ次負けたら罰ゲームな」
ニヤリと意地悪く口元を歪める双真。
――そして、数分後。
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