自分

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帰宅中。 小走りで考えていた。 別に、彼に名前くらい教えても良かったのではないか? あんなに素っ気ない態度をとらなくても、良かったのではないか? だがここで、静かに首を横に振る。 いいや、駄目だ。 何故なら……俺は………。 小走りから更に足の回転を速める。 身体を吹き抜ける風が、この時はやけに冷たく感じた。 ~・*・~・*・~~・*・~・*・~ 「遅い。」 玄関の扉を開けると否や、明らかに怒っている声が聞こえた。 父さんだ。 「すみません。」 「何故遅くなった?」 「いや、…その……。」 「誰かと話しでもしていたんだろう?」 「!!!」 いつだって父さんはお見通しだ。
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