自分

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チッ、まだ降ってんのかよ。 ため息を一つついたその時、 「おーい、そこの奴、先生の話をちゃんと聞いているのか?」 ついさっきまで教卓で、日常生活を過ごすうえでの掟だの、生徒としての自覚だの、世話話を焼いていた先生が、俺の席の直ぐ近くまで来ていた。 どうやら先生は、俺に注意をしたようだ。 俺の席の真ん前まで来ると、 「さっきからずっと注意しているんですがねぇ。」 半眼で、俺を睨み付けながらそう言った。 だが俺は、眼中にも入ってないといった態度で、沈黙を守り続けた。 それが先生の癪に触ったようだ。 「人の話はちゃんと聞きなさい!」 先生は、半ば叫びながら更に俺の席へと近付いてきた。
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