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コツコツと音を立てる、先生の足音。
それが俺の席の前で止まった。
反射的に顔を上げると、腕組みをし、怒りに満ちた表情を浮かべている先生の姿があった。
「君、入学式早々…。」
「触るな!」
先生の注意を遮って、怒鳴ってしまった。
突然のことで困惑しているのか、先生は仕切りに脂ぎった手で、分厚い黒眼鏡を直している。
今さっきまではざわついていた教室。
嘘のように静かだ。
ただ、冷ややかな目線だけが俺に向けられていた。
鋭利な刃物を思わせる、クラスメイトの視線が痛い。
何故理由も無しに怒鳴ったのか。
いや、理由ならある。
“他人に触れられた”
そう、他人に触れられたから。
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