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「別に名乗らなくてもいいだろ。」
俺のその言葉に、成瀬の顔がこわ張った気がした。
「え…だって俺自己紹介したし……。」
礼儀として名乗り返すのは当然だろ?
そう言いた気だ。
「そのうちな。」
だが俺は愛想悪くそう答えると、直ぐさま踵を返した。
「えっ!
ちょ、ちょっと待ってよ。」
後ろから自分を呼び止められるが、そんなものは無視。
急いでんだよ。
胸中で舌打ちして、走り出す。
教室を抜け出して、校門をくぐる。
成瀬の声はもう既に聞こえなかった。
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