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「う、え?」
「なーんてね!ドキドキした?」
そう言って彼はにっこり笑って、桜の木の幹に寄りかかって「寝るわぁ」と言った。
「無理すんなよー。」
「何、が?」
「今は辛いかもだけど、明日は平気になるよ。」
「金田くん?」
「今野は…強いけど、弱いから。…強がんなくてもいいよ」
嗚呼、この人は全部知ってるんだ。
「…クラスがね、嫌い」
「うん」
「皆の目が、怖くてしょうがない。」
「うん」
「皆があたしのこと、嫌いなんじゃないかって、そう考えると、苦しいんだ。」
「うん…」
嫌われたくなくて、必死になってた自分が嫌い
嫌われたくなくて、必死に他の子の悪口を言ってた自分が一番嫌い
「あたし…最悪だ」
「まぁ、人間だもんよ、それはしゃぁない。」
よいしょ、なんて言いながら金田くんは立ち上がって、笑う。
「自分が自分を愛さなくて誰が愛すの?
大丈夫。今野なら、自分のことをわかって、愛せるようになるよ。
だって、俺が好きになった人だもん。」
「え?」
にーっこり笑った金田くんは
桜の花びらに、よく似合っていた。
神様神様
どうかもう少しだけ時間を止めてください。
神様神様
どうかもう少しだけ
私に勇気をください
20060324
(私も好きですと言えるように。)
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