第三章

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「ナンデスカ…ユウサン…」 「えーっと…取り敢えず怖いから、物凄く怖いからその…半角カタカナで喋るの止めてもらえないかな…?」 「…ワカリマシタ」 ―んー…分かって!ない! 「お、俺はさっきの事なんて全然気にしてないし、大丈夫だから!」 「ホント…デス…カ?」 「ほ、本当に!取り敢えず、飯出来たから食べよう!な!」 「わかりました…」 ―おお、やっと治ってくれた。 「そう言えば、朝日って…飯、食べるの?」 幽霊は基本的に何も食べていないイメージがある。 「あ、えっとですね…私、地縛霊なんですけど、本来の場所、私にとっては病院ですね、そこにいる時はその場所から霊力を貰っているから大丈夫なんです。けど、悠さんの家だと霊力の供給が無いので、それの不足を食べる事によって補う…っていうことになります。あ、霊力っていうのは生きてる人で言う栄養ですね」 ―今、地縛霊とかっていう怖い言葉が聞えた気がするけど…取り敢えず気にしないようにしておこう。 「ん、わかった。で、朝日は毎食どれ位食べ…」 ―ん…あー…あれ? ほんの数秒前まで彼女の前にあった料理は今何処? 驚いて朝日を見ると、彼女は口をモゴモゴと動かしながら満足そうな笑みを浮かべている。 ごくり、と喉を鳴らして彼女は言った。 「わぁあ…悠さんってお料理とってもお上手なんですね!」 「まぁ、親いないし毎日自炊だからそこそこ出来るんだけど…もしかして、今の料理全部もう食べた?」 「はい!美味しかったので!」 ―いやいや、美味しかったからといって数秒で皿が綺麗になるなんて…ジョイ君ですかおのれは。 「ん…どうした?」 気づけば朝日の目はキラキラと輝き、もっと我に食物を、というメッセージが体全体で表現されていた。
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