第三章

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そっと客間へと入ったその瞬間、悠はその場に立ち尽した。 ベッドに横になり、静かな寝息を立てている彼女。 その姿は…もう兎に角神々しいまでの美しさであった。 「て、天女が降りてきなすった…」 一人顔を真っ赤にしながらベッドに近づく。 枕元にメモを置いていると、悠はあることに気づいた 「寝間着、着てるんだ」 ストライプのその寝間着は、シンプルながらも彼女の清楚な美しさを引き立てていた。 布団が少し乱れていたので、掛け直そうとする。 「…うわ!」 悠は声を押し殺して叫んだ。 寝返りをうった彼女の胸元がはだけたのだ。 その透き通るようにきれいな肌が露わになる。 耳まで真っ赤にしながら、わたわたと後退する悠。 「し…失礼しましたー…」 小声で呟きながら急いで客間を出た。 早鐘の様に鳴り響く心臓の鼓動が鳴り止まない。 「あー…やばかった」 悠の記憶の中を、胸元をはだけ、静かに寝息を立てる… ビリーがよぎった。 「ぬぉあ!」 無理矢理記憶から抹消する。 ―さようなら、ビリー。 貴方はもう未来永劫金輪際作中に登場する事は無いでしょう…。 彼を忘却の彼方へと吹き飛ばしながら、悠は買い出しの支度をし始めるのだった。
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