第四章

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「ミツキ…?」 現実を告げる、静かな心電図の音。 悠が握ったその手は、温もりを失い始める。 「おい…ミツキ…」 呼びかけても、体を揺すっても、彼女はもう…動かない。 「嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だっ!ミツキ…冗談はやめろって…お兄ちゃん…いい加減怒るぞ…」 医師達に体を押さえられる。 それを悠ははね除け、ミツキに呼びかけ続けた。 だが、本当は既に分かっていた。 彼女はもう帰って来ないのだと。 自分の事を、お兄ちゃん、そう呼ぶ声はもう二度と聞えないのだと。 あの優しい笑顔は、もう二度と見る事は叶わないのだと。 ―俺が…。 俺がミツキを守るんじゃなかったのか…。 「俺は…俺は…ミツキを…守ってやれなかった…!」 ―何が…兄貴だ。 やり場の無い怒りがこみ上げる。 握りしめた拳からは血が滲みだし、白い床に赤い雫を落とした。 そして悠は泣いた。 初めて、声をあげて泣いた。 涙が枯れても哭き続けた。 …冷たくなった彼女を、ずっとその腕に抱えながら―
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