第四章

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「あれ…?これ…ラブコメじゃないの…?」 気づけば、悠の視界が滲んでいた。 悠はゆっくりと振り返る。 …そこには、生前と寸分違わぬ姿のミツキがいた。 「悠兄!」 ててて、と駆けてくる。 「会いたかった!悠兄!」 そう言って、ミツキは抱きついてきた。 ―…ああ、懐かしいな…。 「ミツキ…」 昔の様に、彼女の髪をくしゃくしゃっと撫でる。 「悠兄…悠兄だぁ…」 ミツキは悠の胸に顔を埋めて泣いていた。 悠はぎゅっとその小さな体を抱きしめる。 …もう、二度と会えないと思っていた。 その彼女が、ここにいる。 もう二度と離れることなんてない様に。 この少女の傍に、ずっといる事ができるように。 悠は天を仰ぎ、祈っていた。
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