第五章

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商店街のスーパーに入る。  「これと…これと…」 「悠兄、これ買ってー!」 とててて、籠を持って駆けてくるミツキ。  「ん?何?」 籠の中を確認する。  「…げ」 お菓子。  お菓子。  お菓子。  お菓子。  …お菓子。  「えっと…ミツキ?」 「ん、何ー?」 キラキラと目を輝かせている彼女。  「いいか、買い物にはな…予算っていうものがあるんだ…」 その籠の中のお菓子の量、少なく見積もって一万円強。 むー、と不満そうに頬を膨らますミツキ。  「だから、三個までだ」 「えー…」 残念そうな顔をしながらお菓子売り場に戻っていく。  悠が暫く買い物を続けていると、ミツキが不穏な笑みを浮かべて向こうから歩いてきた。  不吉な予感。  「悠兄、三個ー!」 ふふふ、と不適な笑み。  ミチャダメダ。  ミタライケナイ。  ミルナ。 ミルナ。 本能が危険を告げる。 だがしかし、見なければ現実を知ることはできない。  ゆっくりと、恐る恐る悠は顔を下げて…  現実の恐怖と直面した。 ゴールデンロイヤルデラックスアルティメットスィーツパック。 その悪趣味な程キラキラと輝くパッケージにはそう書いてあった。  一つ一つが三キロ程の重さである。 
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