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「け…消したって、どうやって?」
ミツキの顔から笑みが消える。
「悠兄…見たい?」
「い、いえ滅相もございません!」「だよねー!」
また笑顔に戻る。
…ミツキよ、たった三年の間に成長したのだな。
お兄ちゃん、嬉しい反面怖いです。
いや間違えました、怖さ十割です。
「ねぇねぇ、行こ!悠兄!」
袖をぎゅっと引っ張るミツキ。
「わっ!ちょっと待てって!」
そう言いながら家路を急ぐ二人は、はたから見るととても仲の良い兄妹に見える。
いや、「見える」のかは疑問ではあるが。
悠はこの懐かしい状況に一人笑う。
「ねぇ、悠兄どうしたの?」
「んー、いやなんでもない」
「ふーん、変なの!」
えへへ、とミツキも笑う。
二人で目が合って、次は二人で笑う。
ミツキが嬉しそうにはしゃぐ。
悠も笑いながらミツキの相手をする。
幸せな空気が二人を包んでいた。
「や、やめ、そんなに早く走ったら、たたた、卵が!卵がぁぁぁぁぁぁぁぁあッッ!」
…数秒後、悠の絶叫が通りに響き渡る事になることになったのではあるが。
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