第六章

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「ただいまー」 ミツキと二人、荷物を抱えて家の中へ入る。 「あ、おかえりなさい!」 朝日が居間から出てきた。  「あ、起きてたんだ」 「はい!あ、あれ…?」 悠の隣の小さな訪問者に気づく。「んっと…誰ですか?」 「ああ、この子はミツキっていうんだ」 ミツキとの関係、出会った経緯などを話す。 「…んで、これから家に泊まっていく事になったんだけど、いいよな?」 「はい、もちろんです!」 笑顔で頷く朝日。 「よろしくね、ミツキちゃん」 手を伸ばして握手を求める。  「…うん」 ミツキはキュッと手を握ると、すぐに離して居間へと駆け込んでいった。  「…あれ?」 反応が予想外に冷たかったからか、朝日は少ししゅんとしている。 心なしかミツキの声も少し冷たい気がした。 「むー…嫌われちゃってるのかなぁ…」 朝日は一人で落ち込む。 「あー、きっと人見知りだよ!すぐに朝日にもなついてくれるさ!」 「ならいいんですけど…」 「そ、そういえばほら、朝日腹減ってるだろ?もう飯作るから」 飯、と聞いた瞬間に朝日の目が輝く。  「ご飯!ご飯!うふふふふ…」 急激にテンションが上がっている。  目を爛々と輝かせながら、買い物袋にジリジリと近寄る朝日。  「ちょ、ちょっとストップ!落ち着け朝日!」 「ご飯!ご飯!うふふふふ…」  朝日は同じフレーズを繰り返しながら進行を止めない。
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