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「悠さん…傷ついちゃったかな…」
朝日はベッドの上で沈んでいた。
元気づけようと自分の肩を叩こうとした悠を間接的に拒んだのだ、その事に悠が気付いていたならば彼は傷ついているに違いない。
そう思った彼女はため息をついた。
朝日は悠の事が嫌いなわけではないし、拒んでいるわけでもない。
だがしかし、常に彼女の中では別の男性が浮かんでいるのだった。
生前、付き合っていた恋人。
少し軽い印象もあったが、優しかった。
そしてその男こそが、彼女をこの世に縛り付けている原因である。
彼は朝日が入院した時、毎日見舞いに来た。
そして、抗がん剤で髪が抜け落ち、やつれた彼女は、その姿を彼が受け入れてくれるかどうか不安だった。
しかし、彼はその姿を見てこういった。
「朝日は、朝日だよ」
そして、また必ず来るからと言い残し、病院を去った。
だが、彼はそれ以来来なかった。
連絡もつかず、理由の見当もつかない。
だが彼が言った必ず来るからという一言を信じて待ち続けた。
そして朝日は、もう一度彼に会うことがないままこの世を去ったのだった。
だから朝日は病院にいた。
来る日も来る日も彼を待ち続けていたのだった。
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