第七章

2/11
前へ
/99ページ
次へ
「や、やめ、そこはフランスパンじゃな…」 「下ネタかッッ!」 「う"ッッ!」 朝、ミツキのボディーへの一撃で悠は目が覚めた。  「ぐっ…ミツキ…無防備なボディーに…」 「もぉ、悠兄!何時だと思ってるの!そろそろ起きてよ!」  「んー…何時…?」 まだ覚醒しきっていない頭を抱えながら時計を見る。  「九時…まだ九時じゃん…そんなに遅くないし…寝る…」 「九時ッッ?!痛ッッ!!」 悠の顔を覗き込んでいたミツキは、跳ね起きた悠から一旦顔を反らし、華麗なタイミングで悠にヘッドバッドを合わせてきたのだった。 「ぬ…ぐぉ…」 俺は今…ミツキの後ろにヒョー○ルの影を見た気がする…。  「っていうか学校!」 今日は月曜日だった。  その事をすっかり失念していた悠は、目覚ましをかけわすれていたのである。 「遅刻だッッ!ミツキ、留守番頼む!」 制服に急いで袖を通しながらミツキに言う。 「え、お兄ちゃんどっか行っちゃうの?」 「学校!」 「むー…せっかく遊べると思ったのに…」 「仕方ないだろ、帰ってきたら遊んでやるから!」 歯を磨き、靴を履く。 「あ…」 朝日になんか言ってこなきゃ。  朝日の部屋の前に立ち、ノックをしようて腕を上げて…止まった。 悠の頭には昨日の事が浮かんでいた。  「なんか…気まずいな…」 そうつぶやいて、悠は何度か迷った挙げ句、結局扉を開けずに家を出たのだった。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

148人が本棚に入れています
本棚に追加