【自転車】

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「貴様……昨日、華琳様を“自転車”なるものに乗せてただろう」 春蘭は、何故かはわからないが、少し怒っているようだった。 「……ごめん。何かまずかったのかな?」 「そういうわけではない。ただ……」 そう言うと、春蘭は何やらモジモジとして、歯切れが悪くなる。 俺は首を傾げた。 「……私も乗りたかった」 「……は?」 「私も乗ってみたかったのだ!」 春蘭は顔を真っ赤にしながら叫んだ。 俺は目を丸くして春蘭を見る。 「何だ、何故そんな目を丸くしているのだ!?」 春蘭は、照れ隠しのつもりなのか、剣をこちらに向けて俺を睨んでくる。 俺は苦笑いをする。 「いや、意外だったから」 「何が!?」 「春蘭が、自転車に興味を持つなんて」 春蘭は絶対に自転車のような物より、馬とかの方が似合っている。 というより、馬とかの方が好きだろう。 「そ、それは……私が興味を持ってはいけないのか?」 「いや、そういうわけじゃないけど。ただ、意外だなぁ~、て思っただけだよ」 俺がそう言うと、春蘭は何か呟きながら剣を引いてくれた。
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