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「まぁ乗ってみたいんだったら、いつでも貸してあげるよ」
俺がそう言うと、春蘭も華琳の時と同じような反応をする。
「何? 私に運転させるつもりか?」
「え? 自分で運転したいんじゃないの?」
「……私は乗りたいと言っただけだ!」
春蘭は何故かムキになり、大声を出す。
俺は春蘭の突然の激情に驚く。
「そ、そうなのか。じゃ、じゃあ俺が運転するから、二人乗りしよう」
「そ、そうだな。そうしよう」
二人乗りにしようと言った瞬間、急に勢いが無くなる春蘭。
俺はイマイチ春蘭の考えていることがわからず、先ほどから首を傾げっぱなしだった。
「ふっふっふ~。話は聞いたで~、一刀」
「し、霞?」
廊下の端にある草むらがガサガサと音を立てたかと思うと、霞が顔を出した。
「い、いつから聞いてたの?」
「ん? 『やあ。どうしたの?』ってところからやよ」
「最初から……ってわけね」
俺は軽くため息をつく。
「それはそうと、一刀、うちも“自転車”とかいうのに乗せてほしいわ」
「え、霞も?」
「うん。あ、もちろん一刀の運転でな」
「あ、ああ。良いよ」
「やった!」
霞は俺に抱きついてくる。
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