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「それにしても、人も多いが馬も多いな」
俺と華琳の後ろを歩いている春蘭が、鬱陶しそうに言う。
確かに、先程から馬の姿が沢山見受けられた。
すれ違う商人の九割方が、馬を携えていた。
「そうだね」
「これも街道を整備したことによる嬉しい弊害なのだろうな」
秋蘭が腕を組みながら頷く。
確かに、馬を連れていることによって、行き来が活発になり交易も盛んになる。
秋蘭の『嬉しい弊害』という言葉は、実に言い得て妙だと思った。
「一刀、あなたのいた世界はどうなの? ここと同じように馬がたくさん行き交ってるのかしら?」
華琳の言葉を受け、俺は俺のいた世界の様子を思い浮かべた。
「いや、町中に馬はいなかったなぁ」
「あら? では、人々は馬ではなく徒歩で移動していたのかしら?」
「いや、徒歩じゃなくて……車っていうものがあって」
「『くるま』?」
秋蘭が首を傾げる。
「馬が引く馬車では無いのか?」
「いや、動力源は馬じゃなくて……油なんだよ」
「油?」
「えっと……あまり俺も詳しくは無いんだけど」
俺は車の原理を、概要だけ話した。
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