【自転車】

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俺は改めて真桜のことを凄いと思った。 俺のまたがる『摩馬茅弥梨』は、日本のそれと遜色ないほどに滑らかな動きをし、材料がほとんど木にも関わらず乗り心地も悪くなかった。 城内を三十分ほど駆け回ると、『摩馬茅弥梨』にもだいぶ慣れてきた。 これになら華琳を乗せられる。    ◇   ◇   ◇ 「……これがその自転車というやつなのかしら」 華琳は真桜作の『摩馬茅弥梨』を見、興味深げに言う。 「変わった形をしているわね」 「まあね……いろいろ改良されて、最終的にこの形になったみたい」 「この形が一番効率的というわけね」 華琳は摩馬茅弥梨に近づき、食い入るように見つめる。 木で出来たフレームは少し“いびつ”だが、それもいい味を出している。 サドルの部分は、柔らかい素材で固めたクッションの様な物で出来ており、座り心地も悪くなさそうだ。 華琳はひとしきり摩馬茅弥梨を眺めると、顔を俺に向ける。 「早速乗ってみたいわ」 「わかった。じゃあ乗り方は……」 俺が自転車の乗り方を教えようとすると、華琳は俺に向けて疑問そうな表情をぶつけてきた。
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