270人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は改めて真桜のことを凄いと思った。
俺のまたがる『摩馬茅弥梨』は、日本のそれと遜色ないほどに滑らかな動きをし、材料がほとんど木にも関わらず乗り心地も悪くなかった。
城内を三十分ほど駆け回ると、『摩馬茅弥梨』にもだいぶ慣れてきた。
これになら華琳を乗せられる。
◇ ◇ ◇
「……これがその自転車というやつなのかしら」
華琳は真桜作の『摩馬茅弥梨』を見、興味深げに言う。
「変わった形をしているわね」
「まあね……いろいろ改良されて、最終的にこの形になったみたい」
「この形が一番効率的というわけね」
華琳は摩馬茅弥梨に近づき、食い入るように見つめる。
木で出来たフレームは少し“いびつ”だが、それもいい味を出している。
サドルの部分は、柔らかい素材で固めたクッションの様な物で出来ており、座り心地も悪くなさそうだ。
華琳はひとしきり摩馬茅弥梨を眺めると、顔を俺に向ける。
「早速乗ってみたいわ」
「わかった。じゃあ乗り方は……」
俺が自転車の乗り方を教えようとすると、華琳は俺に向けて疑問そうな表情をぶつけてきた。
最初のコメントを投稿しよう!