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「なに? 私が操作するの?」
「え?」
「あなたが操作しなさい」
華琳はそう言うと、俺の顔をじっと見る。
くっ。
そんな顔されたら、断れるわけないじゃないか。
「……わかった。じゃあ二人乗りをしよう」
「二人乗り?」
「俺が運転するから、華琳はここに座ってよ」
俺はサドルの後ろにある、荷物置きのような物を指差す。
真桜にはママチャリの構造を教えてあったので、荷物置きが存在したのだ。
「ここ?」
「そう」
「……あまり座り心地が良くなさそうね」
「まあ、本来は座るところじゃないからね」
俺がそう言うと、華琳は目をしかめた。
「……そんなところに私を座らせるのかしら?」
まずい。
余計なことを言ってしまったか?
「い、いや。元々二人乗り用じゃないからさ、しょうがないんだよ」
「……なら私がそれに座れて、かつあなたが運転するような方法は無いのかしら?」
俺は華琳の無茶ぶりに等しい要求に対し、必死に思考を巡らせる。
が、俺はそこまで切れ者ではないため、良い案など出なかった。
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